やきもの鑑定の目のつけ処は、@陶土、A造形と意匠、B釉薬と絵付けであり、これによって時代、窯、真贋などを見極めることができるのです。さらに、茶道具については、出処、箱及び箱書きなども鑑定の際のより処の一つとなります。ただし、箱書や落款を単純に信じ込むことは甚だ危険であり、真に古美術を鑑賞する態度とは言えません。
(1)陶土の見方
作品をひっくり返して、裏側の釉薬が掛かってない素地の色・粗密度・鉄分その他混合物などを見ることでその産地が推定できます。骨董市などで安価に入手できる陶片は、陶土を見るため大いに参考にできる良い資料です。このため、一部の美術館では、ガラス台に作品を載せ、下に鏡を置いて高台部を見せる工夫をしたり陶片なども展示していますが、全ての美術館においてそうあって欲しいと願います。
(2)造形と意匠の見方
造形的には口縁部・高台部・肩の形や意匠に窯や時代の特徴が表れやすいため、口縁や高台の高さと薄さ、直立しているか傾斜しているか、肩の張り具合などに注目します。
紐つくりか轆轤つくりか型押しか、轆轤つくりの場合は左右の回転方向を見極めなければなりません。唐物は蹴轆轤で左回り、和物は手轆轤で右回りです。ただし、丹波茶入は大陸系の左回糸切で、手轆轤でも左利き工人が皆無とは言えず、有力な手掛かりであってもこれのみで完璧な鑑定はできません。
(3)釉薬と絵付の見方
釉薬について窯出時からの釉調か、発掘品に特有の胎土や釉の化学変化か、自然の経年変化か、時代付けしたものか見極め、全体の色調や肌合いの滑らかさなどをも観察します。時代付けの方法として、酸性薬品で処理したり土中に埋めたりされるので、要注意です。
絵付の観察ポイントは、@染付などは呉須顔料の濃淡や彩度等の色調を見ること、A絵柄や文様について時代の流行すたりを見ることです。
以上の観察で、意匠や絵付けが手馴れてないもの、気品を欠くものや何となくわだかまりを感じるものはいけません。また、極端に汚れているものには正当な鑑定を妨げようとする“よこしまな意図”も感じられます。 |